建築のリノベーション,新築,内装を手掛ける向坂建築設計事務所

WORKS

095時代を超えた賃貸 2001年宇宙の旅

マンションリノベーション 専有面積 73.81㎡

リノベーション・オブ・ザ・イヤー 2024  ミニマリズム・リノベーション賞 受賞

1968 年、映画『2001 年宇宙の旅』が描いた未来は、時を超えた進化と無限の可能性に観る者の胸を高鳴らせた。
しかし、2024 年の現在を見渡せば、あの時に描かれた壮大な未来図から 23 年が過ぎたにもかかわらず、実情はまだ映画が示した未来には追いついていない。今回のリノベーションは、その現実を反映しつつ、映画をイメージして再解釈に挑戦した。
半世紀以上前に考えられていた未来を表現したスペース(空間=宇宙)を、自然界の黄金比“フィボナッチ数列”から着想し、あえて装飾性のないミニマムな設えとして、本来ヒトに刻まれた美的感覚を刺激するフォルムを重視した空間デザインに仕上げました。
特に目を引く要塞のような、そしてゆるやかに低くなっていく曲線の壁は美しく、その内側にはキッチン設備と洗面台が隠されており、そして渦を巻いた動線の中心にあるシャワールームは作中の“モノリス”を表現しています。
施工時には完成形から逆算して寸法を導き出す必要があり、三角関数などを利用した数学的なアプローチで線を導き出した。
「賃貸でここまでやるの?」たしかにそれは正しいのかもしれない。
住まうのは同じヒト。
住人達にまだ見たこともない世界が広がってゆけば、それはいつしか普遍となる。無限の可能性を秘めたこの部屋から新しい価値の賃貸リノベ時代の幕が開いていく。

施主:岡部保全合名会社

施工:イー・ワークス株式会社

撮影:影山優樹

Apartment Renovation Exclusive Area: 73.81㎡

Renovation of the Year 2024
Winner of the Minimalism Renovation Award

In 1968, 2001: A Space Odyssey envisioned a future of infinite possibilities, thrilling audiences. Yet in 2024, 23 years after that vision, reality still lags behind. This renovation reinterprets the film’s themes, blending minimalism with futuristic inspiration.

Using the golden ratio, the design focuses on forms that naturally resonate with human aesthetics. A striking curved wall, resembling a fortress and gradually lowering, hides the kitchen and bathroom. At the spiral layout’s center lies a shower room, symbolizing the movie’s iconic monolith.

The project involved reverse-engineering dimensions from the design, using trigonometry for precise lines.

“Why go this far for a rental?” It’s a fair question. Yet, by creating extraordinary spaces, the ordinary becomes extraordinary. This room marks the start of a new era in rental renovation, unlocking infinite potential.

Client: Okabe Conservation Partnership Company
Construction: E-Works Co., Ltd.
Photography: Yuki Kageyama